リスティング広告の改善方法 | 重要なポイントとチェックリストを公開

「リスティング広告に予算をかけているのに、期待した成果が出ない」
「コンバージョン率が低くて、費用対効果が悪い」
「そもそも何から手をつければいいのか分からない」
リスティング広告の運用担当者やマーケティング担当者の方であれば、一度はこのような壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。
リスティング広告で成果が出ないのは「正しい改善アプローチを知らない」ことが原因です。
本記事ではリスティング広告の改善の取り組み方や具体的なチェックリストを紹介しておりますので、ぜひご自身のアカウントと照らし合わせながらご覧ください。

リスティング広告でよくある失敗パターン
リスティング広告は初期設定から終わりではなく、継続的な運用と改善が必要なマーケティング施策です。しかし多くの企業が同じような失敗パターンに陥り、期待した成果を得られないケースが少なくありません。ここでは、リスティング広告運用でよく見られる失敗パターンを紹介します。
「出稿して終わり」の放置型運用
リスティング広告は運用初期から大きな効果を得られることは稀であり、「出稿したら終わり」ではなく効果検証と改善を繰り返していくことで効果を最大化していくことができます 。初期設定後に運用を放置してしまい、期待した成果が得られないパターンも多いです。
目標設定が出来ていない
リスティング広告の改善で絶対にしておくべきことは目標の数値化です。コンバージョンを増やす、コンバージョン単価を下げるという目的だけでなく、どの数値を目指すのかを決めておきましょう。具体的な目標がないまま運用を続けると、何を改善すべきかわからず成果が出ません。
広告以外の要素の改善不足
リスティング広告は魔法の杖ではなく、広告の受け皿であるランディングページや商品に問題があると、どれほど管理画面上で調整してもコンバージョン率は上がりません 。ランディングページではファーストビューのキャッチコピー、ベネフィットの視覚的表現やCTAの設置が重要 で、広告文で訴求した内容とLPの内容にズレがないことが成功の鍵です。さらに、リード獲得後のプロセスも含め、広告媒体やGA4のデータだけでなく実際の現場の数字も含めた集客全体で最適化を図る意識が必要です。
リスティング広告の改善の流れ
リスティング広告は運用型広告とも呼ばれ、継続的な改善を行うことで効果を最大化できる広告手法です。ただ配信して終わりではなく、分析と改善を繰り返すことが重要です。ここでは、リスティング広告の効果を高めるための改善の流れを解説します。
現状分析からはじめる
リスティング広告の成果を改善するためにはまず分析を行い、悪化原因の要素や更によくできる要素を洗い出し、どこをテコ入れすべきか明らかにする必要があります。例えるなら、医者が問診で治療箇所を特定するまでが分析。施術が改善と言えるでしょう。
分析の際には以下の指標を必ず確認しましょう。
- コンバージョン数(CV)/コンバージョン率(CVR)
- コンバージョン単価(CPA)
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
- インプレッション数/リーチ数
これらの指標を分析することで、どこに課題があるのかを特定し、効果的な改善施策を立案することができます。
改善目標の設定
改善する上で絶対にしておくべきことは目標の数値化です。コンバージョンを増やす。コンバージョン単価を下げる。といった抽象的な目標だけでなく、どの数値を目指すのかを決めておきましょう。例えばコンバージョン50件、コンバージョン単価10,000円を目指すというイメージです。
目標設定のポイント
- 具体的な数値で設定する(コンバージョン◯件、CPA◯円など)
- 実現可能かつ挑戦的な数値を設定する
- 取り扱っている商材やサービスをどのようなユーザーに届けたいのか?なぜ自社で扱っている商材を運用するべきなのか?など目的を明確にする
- 期間を設定する(3ヶ月後、半年後など)
ロジックツリーによる改善施策の立案
リスティング広告の改善はロジックツリーを元に、目的から逆算して指標を1つずつ良化させることが重要です。ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、その原因や解決策を論理的に発見する考え方です。
主な改善目的によって、改善すべき指標は以下のように分類できます。
コンバージョン数を増やしたい場合
コンバージョン数 = クリック数 × コンバージョン率
- クリック数を増やす施策:
- インプレッション数を増やす(キーワード追加、入札価格引き上げなど)
- クリック率を上げる(広告文の改善、掲載順位の向上など)
- コンバージョン率を上げる施策:
- ランディングページの改善
- ターゲティングの最適化
- コンバージョンに繋がるキーワードの追加や、繋がらないキーワードの停止
コンバージョン単価を下げたい場合
コンバージョン単価 = クリック単価 ÷ コンバージョン率
- クリック単価を下げる施策:
- 入札価格の引き下げ
- クリック単価の高いキーワードの停止
- コンバージョン率を上げる施策:
- 前述のコンバージョン率向上施策と同様
改善施策の実施と効果測定
状況や内容によってすぐ効果は出ることもありますが、一般的にリスティング広告の効果が表れる期間はおおよそ3ヶ月から6ヶ月が一つの目安です。この期間内はデータを蓄積させるため、PDCAを回しながら成果が出るポイントと出ないポイントをテストして分析しましょう。
改善施策の実施と効果測定のステップ
- 施策の優先順位づけ:
- コストパフォーマンスの高い施策から順に実施
- インパクトの大きいボトルネックから改善
- 施策の実施:
- 一度に複数の要素を変更せず、できるだけ1つの要素ずつ変更する
- キーワード、入札価格、広告文などの調整を順次行う
- 効果測定:
- 施策実施後、十分なデータが集まるまで待つ
- 目標指標の変化を観察し、効果の有無を判断
- 数値だけでなく、ユーザーの行動や心理も考慮して分析
- 次の施策への反映:
- 効果のあった施策は拡大、効果のなかった施策は中止または改善
- 新たな仮説の立案と検証
継続的な改善サイクルの構築
リスティング広告は、正しい指標を分析することで、効果を改善して成果を得られるようにもなります。 単発的な改善ではなく、継続的に改善サイクルを回すことが重要です。
継続的な改善サイクルのポイント
- 定期的な分析レポートの作成(週次、月次など)
- 検索キーワードやデバイス別評価など、詳細なデータを確認
- 業界動向や競合の動きも監視
- 数値だけで判断せず、ユーザー心理もセットで考えて施策を実施する
リスティング広告の改善は終わりのない旅です。市場環境やユーザーの行動は常に変化するため、定期的な改善が欠かせません。小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながります。上記のステップを踏みながら、自社の広告パフォーマンスを継続的に向上させていきましょう。
リスティング広告の改善をする際に重要なポイント

具体的な施策の前に、リスティング広告を改善する際に意識しておきたい重要なポイントを解説します。
- インパクトの大きいところから行う
- 要素を分解して考える
- 商材がリスティング広告に向いているかを判断する
インパクトの大きいところから行う
リスティング広告の改善は、闇雲に行うべきではありません。
特に予算の大きいアカウントなどは、構造が複雑になっていたり、キャンペーン数、グループ数が多くなっていることがあります。
そんなときに手当たり次第に改善をしていると、そもそも作業効率が悪く、効果も薄くなってしまいます。
リスティング広告の改善では、基本的には費用が大きいor全体のコンバージョンへの影響が大きいところから取り組むことをおすすめします。
改善自体をすることではなく売上や利益を上げることが目的のはずですので、効率よく行うことを意識しましょう。
そもそもリスティングが向いているかどうかも判断が必要
リスティング広告はコンバージョンの獲得に向いている媒体ですが、どうしても成果が出にくい商材もあります。
そんなときは無理にリスティング広告にこだわらず、他に施策に取り組むことで集客の効率を上げることができるかもしれません。
- ニーズが顕在化している
-
商品・サービスに関して何か行動を起こそうとしている明確な検索語句があると、リスティング広告に取り組みやすいです。ただし、その場合は競合が多いケースもあります。
- 単価が高い
-
ネガティブな検索ワードでリスティング広告を出せる商材(育毛剤・カードローン)などは単価も高くリスティング広告で成果が出やすいです。
- 市場がまだない
-
商品・サービスとして一般的ではなかったり、明確な検索語句がないものはこれから市場を作っていく必要があるため、リスティング広告を行うフェーズではありません。
- 単価が低い
-
例えば日用品・小物雑貨など、比較的リスティング広告でのクリック単価も安くなりやすいジャンルではありますが、費用対効果が合わないことが多いです。

リスティング広告で成果が出ないときの改善チェックリスト

下記の4つの分野に分けて、リスティング広告の具体的な改善チェックリストを整理しました。
- 全体設計
- 広告設定
- クリエイティブ(広告文)
- サイト・LP(ランディングページ)
どの項目もとても重要で、当たり前にできていないと成果が出ない内容です。
ぜひご自身のアカウントと照らし合わせながらご確認ください。
全体設計
広告文・キーワード・アカウントの細かい設定ではなく、それ以前の計測や事前分析の部分をチェックします。
全体設計はリスティング広告全体の礎であり、この部分が甘いと特に成果が繋がりづらいため、改めて整理しましょう。
- 計測は正しくできているか?
-
ウェブ広告の実施にあたって、正しく計測して効果を検証する必要があります。
正しく計測したデータをもとに施策を考え・実行することで、改善の質が高まります。
また、媒体データだけでは実際のデータと乖離があったり、取れるデータも限られたりするので、GA4を用いて次のような指標を計測しましょう。- 直帰率
- スクロール率
- イベント
- コンバージョン
あわせて読みたいGA4のイベントとは?イベントの種類や設定・分析方法を徹底解説! 2023年7月からユニバーサルアナリティクス(UA)の計測が停止し、GA4を活用したアクセス解析を余儀なくされるようになりました。 そのような状況の中で、 GA4のイベント… - マーケティング分析は行ったか?
-
リスティング広告で成果を出すには、全体の設計や訴求を考える上で様々な分析を行う必要があります。
リスティング広告を含むマーケティング施策において、顧客と商材の理解は当たり前に行いたい内容。
顧客と商材についてしっかりと理解しないまま広告配信を行っても効果は最大化できませんし、反対にここの分析がきちんと行えていれば、その後のキャンペーン設定、広告文・クリエイティブ作成で裏付けのある施策を実行することができます。- 3C分析
- 自社
- 競合
- 顧客
- 競合LP分析
- 3C分析
広告設定
広告管理画面上で、基本的な項目が正しく設定されているかチェックします。
リスティング広告をはじめとするウェブ広告は、設定項目が多くヌケモレが発生しがちです。
ひとつずつ見直して、適切な設定がされているかを確認してください。
- コンバージョンの測定は正しいか?
-
- 媒体のコンバージョン設定やGTM設定を確認して、計測が正しいかを確認
- コンバージョンが正しく計測できていないと正しい効果検証ができなかったり、媒体の学習が進まないので要チェック
- 媒体のコンバージョン設定やGTM設定を確認して、計測が正しいかを確認
- キャンペーン構成は適切か?
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- 無駄にキャンペーン・広告グループを量産していないか
- ある程度予算やキーワードが多い場合は、キーワードの属性ごと(例えば、顕在層向けと潜在層向け)にグループを作成して、広告文を分けて訴求するのは効果的
- 無駄にキャンペーン・広告グループを量産していないか
- キーワード設定は適切か?
-
- コンバージョンから遠いキーワードが設定されていないか
- キーワードごとに入札単価を調整する(手動入札の場合)
- 検索意図が違う検索クエリであると判断できるなら停止・除外
- 「キーワードの基本的な考え方」を確認する
- マッチタイプは適切か
- 商材やキーワードにもよるが、使用シグナルが多い「部分一致」を使った方が成果がよくなることもある
- 「カスタムテスト」でテストが可能
- 入札単価は正しく調整されているか
- クリック単価が高すぎる・低すぎる(入札戦略も併せて見直す)
- コンバージョンが少ない場合インプレッションが出ていないことがあるため、インプレッションシェアを確認して上位に表示されていなければ入札単価を上げる
- 「入札単価の基本的な考え方」を確認する
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- クエリの除外はされているか?
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- サービスに関係のないクエリ、コンバージョンから遠いクエリを定期的に除外しているか
- ターゲットの設定は適切か?
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- ターゲットではないデモグラフィック(年齢・性別・地域)の配信を停止しているか
- デモグラフィック(年齢・性別・地域)ごとの入札調整はされているか
- オーディエンスの設定が適切にされているか?
-
- モニタリングで設定する
- ターゲティングはされず、オーディエンスごとのレポートを確認できたり、入札単価の調整に使用することができる
- リターゲティングリスト
- 興味関心
- ターゲティングはされず、オーディエンスごとのレポートを確認できたり、入札単価の調整に使用することができる
- 除外する
- コンバージョンしたユーザーリスト
- モニタリングで設定する
- 配信地域に問題はないか?
-
- 配信すべき地域に設定されているか
- 対象地域に関心を示したユーザーに配信して、意図せずに配信が広がっていないか
- アセット(広告表示オプション)は設定されているか?
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- パフォーマンスと広告の評価が向上するので必ず設定
- サイトリンク
- コールアウト
- 電話番号表示
- 構造化スニペット
- 住所表示
- 画像表示
- パフォーマンスと広告の評価が向上するので必ず設定
クリエイティブ(広告文)
広告文はユーザーが最初に目にする部分です。
訴求の見直しや、広告文のチェックを行うことでCTRの改善を狙うことが可能です。
- 訴求は適切か?
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- 「全体設計」でおこなったマーケティング分析の内容を反映して訴求が作られているか?
- ベネフィットは入っているか
- USP(自社の強み)は入っているか
- オファーは入っているか
- ターゲットが検索する場面を想像できているか
- 広告文は適切か?
-
- 見出しはすべて入っているか
- 説明文はすべて入っているか
- 同じような訴求の見出しはないか
- 設定しているキーワードが広告文に入っているか
- 広告の有用性が低くなっていないか
アノマリーマーケティング | Web広…リスティング広告の広告文の作り方 | 成果を出すためのポイントを解説 リスティング広告の広告文は、成果を高めるうえで重要な要素です。 ユーザーが最初に接触する部分ですので、広告文次第でこのあとのユーザー行動に大きく影響します。 そん…
サイト・LP(ランディングページ)
ユーザーが広告のクリック後に訪れるページで、購買意欲の醸成や行動喚起に用いられます。
LPの内容がCVRに大きく影響するため、広告の改善と合わせてじっくりと行うべきです。
- LPO(ランディングページ最適化)は行われているか?
-
一概に数値で言えませんが、フォーム到達(遷移)率が低い場合は改善を行うべきです。
下記のチェックリストにて改善点がないかご確認ください。- 表示速度は問題ないか
- ファーストビューは適切か
- コピーがターゲットに伝わる内容になっているか
- 権威性・オファー等が一目で分かるか
- CTAは適切か
- 場所・訴求内容・ボタンの色や形は適切か
- その他CVRを上げる施策はないか
- ポップアップ
- アンケート
- マイクロコピー
- 不足しているコンテンツはないか
- お客様の声
- 事例・実績
- 選ばれる理由
- 競合比較
アノマリーマーケティング | Web広…リスティング広告で成果の出るLPの作り方 | 価値を伝え行動を起こしてもらうために リスティング広告を運用する上で切っても切り離せないのが「LP」。 まさにリスティング広告の肝となる部分で、大変重要な役割を担います。 本記事では「成果の出るLPの作り… - EFO(フォーム最適化)はされているか?
-
フォームは、到達(遷移)からの送信完了率を1%でも上げるために積極的に改善したい項目です。
下記のチェックリストにて改善点がないかご確認ください。
- 入力項目は可能な限り少なくする
- オファー(特典等)がある場合はあわせて記載する
- 他のページへの導線は目立たせないようにする
- 入力例を表示する(プレイスホルダー)
- シンプル or 情報を盛り込むパターンでテストを行う
リスティング広告以外の部分の改善が必要な場合も多い

例えばリード獲得系のサービスでリスティング広告を出す場合、広告配信から実際の売上に繋がるまで下記のようなフローになります。
リスティング広告が担当するのはコンバージョン、つまりリード獲得までで、そのあとの商談は営業の役割です。
- リスティング広告の費用対効果が悪い
- リスティング広告で売上に繋がっていない
上記のような場合でも、蓋を開けてみれば「営業の成約率が低く、成果に繋がっていない」といったケースが少なくありません。
それ以外にも、「リード獲得に問題はないが、営業のキャパが間に合っておらず対応に問題があった」といったケースも実際にありました。
リスティング広告でどれだけリードを獲得していても、その先の部分に課題があれば集客は上手くいきません。
とはいえこの場合、獲得するリードの質が悪く成約率に影響が出ている可能性もあるため、リスティング広告自体の配信に課題を抱えているケースもあります。
ですので、広告媒体やGA4だけで見られるデータだけではなく、実際の現場の数字も全て合わせ集客全体で最適化を図っていく意識を持つことが重要です。
リスティング広告改善の教科書 | まとめ
リスティング広告は、Web広告の中でもユーザーが能動的に検索して行動しているため、成果が出やすいメニューです。
正しく改善を行って成果を高めるために、ぜひ本記事を参考にしてください。
とはいえ、Web広告はリスティング広告ひとつを取っても専門な内容が多く、移ろいも早いため自社で取り組んでいてもなかなか成果につながらないケースが多いです。
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