ノンデザ運用者が生成AIを使ってクリエイティブ制作できるか試してみた

こんにちは!Webコンサルタントの伊藤です。
広告運用をしていて、ふと「自分で生成AIを活用して広告クリエイティブを作れないだろうか?」と思ったため、ノンデザイナーの私が本当にうまく作れるのか、実際に試してみることにしました。
今回使用した生成AIは「Nano Banana Pro」です。
何度も試行錯誤を重ねた結果、最終的に生成できたのがこちらの画像です。

ここまで到達するには、正直かなりの失敗を重ねました。
この記事では、生成AIでのクリエイティブ制作における失敗の過程から、最終的に成功したプロンプトまで、すべてお見せします。
▼この記事でわかること
・ノンデザでも生成AIを活用してクリエイティブを制作できる具体的な方法
▼この記事を読んでほしい人
・デザイナー経験がないマーケティング担当者
試行①:テキストのみで丸投げ
まずは、生成AIがどのくらいの精度でクリエイティブを制作できるか不明だったため、案件情報や入れたい訴求だけをテキストに入れて実施しました。
実際に入れたプロンプトと生成された画像がこちらです。
広告用バナー
▼バナー仕様
画像サイズ: [1080px × 1080px]
▼業種・商材情報
業種: [パーソナルジム]
商材・サービス名: [完全個室パーソナルトレーニング]
ターゲット層: [20代後半〜40代、健康・美意識が高い層]
訴求ポイント: [専属トレーナー指導、短期間で結果、個室プライベート空間]
▼キャッチコピー・テキスト
メインコピー: [一般ジムの常識を、パーソナルが変える。]
サブコピー: [自信をもって、理想の体へ]
価格訴求: [入会金 ~~19,000円~~ → 0円]
限定性訴求: [30名限定 / 無料体験受付中]
CTA: [無料カウンセリング予約]
生成された画像

結果
全く使用できないクリエイティブではないですが、カラーや使われる素材など、こちらがコントロールできない部分が多く、まだデザインのクオリティも上げられそうです。
試行①での気づき
プロンプトが具体性が低かったことにより、こちらが想定しているものが出てこなかったのではないか?と考えました。
試行②:構成案+素材の指定
生成されるクリエイティブをよりコントロールできるようにするため、構成案を作成し、写真などの素材を試行①の情報に追加して生成しました。
実際に入れたプロンプト・構成案と生成された画像がこちらです。
広告用バナー
添付の構成案を元に作成
▼バナー仕様
画像サイズ:[1080px × 1080px]
▼業種・商材情報
業種:[パーソナルジム]
商材・サービス名:[完全個室パーソナルトレーニング]
ターゲット層:[20代後半〜40代、健康・美意識が高い層]
訴求ポイント:[専属トレーナー指導、短期間で結果、個室プライベート空間]
▼メイン画像の指示
被写体:[トレーナーと利用者のマンツーマン指導シーン、笑顔で活力あるポーズ]
▼参考デザインイメージ
全体トーン:[ポップで親しみやすい / エネルギッシュで活気がある]
構成案

生成された画像

結果
生成AIが構成案をそのまま受け取って作成してしまい、ノンデザイナーの私が作成したレベルのクリエイティブになってしまいました。また全体のトーンを言葉で伝えましたが、抽象的すぎて求めるデザインとズレています。
試行②での気づき
生成AIはこちらが用意した構成案に引っ張られすぎてしまいます。そのため、ノンデザイナーが考えられる範囲のクオリティまでしかクリエイティブを制作することができませんでした。
AIのほうが持っている知識やデザインの引き出しは当然多いです。そこを人間が足を引っ張らないように、かつ試行①のように低クオリティにならないようにする必要があります。
具体的な構成案は伝えず、欲しい要素を具体的に指示する形にしてはどうかと考えました。
試行③:デザインの言語化と自由度の確保
デザインに入れてほしい要素を具体的に指示するために、ある程度デザイナー用語を学ばなければいけません。
ただし、1からデザイン本を読むほど時間も余裕もなかったため、ここでもAIの力を借りてみました。
まず、Metaの広告ライブラリから「良い」と思ったデザインのクリエイティブをピックアップし、そのクリエイティブにある各パーツの専門用語をAIに聞きました。
デザイナー専門用語を学ぶためのプロンプト
添付のデザインを参考にAIでバナーを作成したいです。
まずは、テキストでデザインを伝えるため簡潔に10個箇条書きにしてください
デザイン用語は積極的に使用してください
実際の返答

レイアウト構造:人物写真とテキスト情報を左右に分割配置する2カラムレイアウトを採用し、視認性を高める。
メインビジュアル:ターゲット層(例:20〜40代女性)がジムでアクティブに活動する人物写真を大きく使用し、背景は被写界深度を浅くしてぼかす。
カラースキーム:スポーティーで活気ある印象を与えるビビッドカラー(ライムグリーン、ピンク、オレンジ等)をアクセントにし、白地をベースとしたハイキーなトーンでまとめる。
タイポグラフィ(階層):メインコピーはジャンプ率を極端に高く設定し、視線を奪う強力なアイキャッチとする。サブコピーは対照的に小さく扱う。
文字加工:メインコピーには斜体(イタリック)や袋文字(アウトライン)、シャドウ処理を施し、動きと立体感を強調する。
数字の強調:「0円」などの価格訴求は、他の文字要素よりも圧倒的に大きなウェイトとサイズで配置し、インパクトを与える。
装飾エレメント:背景や文字周りに、ストライプ、ドット、幾何学シェイプなどのパターンやあしらいを加え、デザインにリズム感を生む。
権威付け:「受賞歴」や「No.1」などの実績を示す情報を、メダルやエンブレム風のデザインで配置し、信頼性を担保する。
CTA:ユーザーのアクションを促すCTAボタン(例:「体験予約」)を設け、目立つ配色と立体感のあるデザインでクリックを誘導する。
全体のトーン&マナー:ポジティブで親しみやすく、かつプロフェッショナルな信頼感を感じさせるクリーンでエネルギッシュなデザインで統一する。
出てきた専門用語を使ってプロンプトを作成しました。
試行②の反省を踏まえて、具体的に指定して固定するプロンプトと、自由度を持たせてAIに任せるプロンプトを作成しました。
固定プロンプト
▼あなたの役割
大手広告代理店のアートディレクターとして、低解像度素材・過剰装飾・視認性の低い配色を排除した、タイポグラフィとビジュアルヒエラルキーが明確な広告を制作してください。
▼デザイン基本方針
・レイアウト:非対称グリッドによる動的レイアウト(画像60% :テキスト40%、またはオーバーレイ型)
・画像品質:300dpi以上の高解像度フォトリアリスティック画像を使用
・視認性:ポップで視認性の高いカラーブロック、斜めストライプやダイナミックな図形要素でアクセント
・親しみやすさ:手書き風フォントや丸文字を部分的に使用してフレンドリーさを演出
▼デザイン禁止事項
・過度なドロップシャドウ・グロー効果の多用禁止
・可読性を損なうテクスチャオーバーレイ禁止
▼カラーパレット設計指示
「業種・商材情報」と「全体トーン」から、以下のカラーシステムを自動構築してください
1. プライマリカラー(1色):業種の特性を表現する鮮やかなアクセントカラー(彩度80%以上)
・用途:価格訴求エリア、強調キーワード背景
2. セカンダリカラー(1色):プライマリを補完する高彩度カラー
・用途:キャンペーン情報、限定性訴求
3. ベースカラー(2色):
・ホワイト:テキスト背景、情報ボックス
・リッチブラック:本文テキスト
4. 価格訴求専用カラー(1〜2色):
・超目立つ高明度カラー(明度90%以上)
・用途:「0円」「特別価格」等の価格強調
5. 限定性訴求カラー(1色):
・緊急性を感じさせる暖色
・用途:「限定」「残りわずか」等
〇カラー選定の原則
・ターゲット層の心理に合わせた色彩選択
・業種の専門性と親しみやすさのバランス
・全体で5〜7色以内に抑制
・コントラスト比WCAG AA準拠を遵守
▼タイポグラフィ自動設定
以下のテキストヒエラルキーを、選択したカラーパレットに最適化して構築してください
〇レベル1:手書き風キャッチコピー
・フォント:手書き風フォント
・配置:画像エリア内、モデル近傍
・効果:軽度の回転
〇レベル2:メイン訴求(最大強調)
・フォント:ゴシック体 Extra Bold
・背景:プライマリカラーのカラーブロック + 斜めストライプ
・配置:画像とテキストの境界またはオーバーレイ
〇レベル3:価格表示の超強調
・「0円」の「0」:円形
・通常価格の打ち消し線:赤い斜線
・効果:軽度の回転
〇レベル4:サブ情報
・フォント:ゴシック体 Bold
・配置:メイン訴求の上下
〇レベル5:限定性・緊急性訴求
・デザイン:円形バッジ
・フォント:丸ゴシック体 Bold
・配置:画像の右上
・効果:軽度の傾き
〇レベル6:詳細説明文
〇レベル7:CTA
・ボタン:
・完全な丸角
・フォント:Bold
▼ビジュアル要素の自動構築
〇メイン画像
・解像度:最低1600x1200px(300dpi)
・カラー処理:彩度+10%〜+15%、コントラスト+20%
・配置:左側60%または全面背景フルブリード
・オーバーレイ:右側30%にグラデーション(透明→白、不透明度80%)
〇図形要素
・ストライプ背景:45度、価格訴求エリア
・不規則図形:手描き風の円形・楕円形
・円形バッジ:限定性訴求用
▼視覚的ヒエラルキー
〇F型視線誘導を自動設計
1. 左上 → メイン画像の被写体
2. 中央左 → 手書き風キャッチコピー
3. 中央 → 最大訴求(価格・メリット)
4. 右側中段 → 詳細説明
5. 右下 → CTAボタン
〇コントラスト比
・タイトルと背景:最低7:1(WCAG AAA)
・本文と背景:最低4.5:1(WCAG AA)
・価格表示:最大コントラスト確保
・CTA:周囲との明度差40%以上
可変プロンプト
▼バナー仕様
画像サイズ:[1080px × 1080px]
▼業種・商材情報
業種:[パーソナルジム]
商材・サービス名:[完全個室パーソナルトレーニング]
ターゲット層:[20代後半〜40代、健康・美意識が高い層]
訴求ポイント:[専属トレーナー指導、短期間で結果、個室プライベート空間]
▼キャッチコピー・テキスト
メインコピー:[一般ジムの常識を、パーソナルが変える。]
手書き風サブコピー:[自信をもって、理想の体へ]
価格訴求:[入会金 ~~19,000円~~ → 0円]
補足情報:[]
限定性訴求:[30名限定 / 無料体験受付中]
CTA:[無料カウンセリング予約]
▼メイン画像の指示
被写体:[トレーナーと利用者のマンツーマン指導シーン、笑顔で活力あるポーズ]
雰囲気:[清潔で明るいトレーニング環境、信頼関係が伝わる構図]
ライティング:[自然光またはスタジオライティングで高級感を演出]
▼参考デザインイメージ
全体トーン:[ポップで親しみやすい / エネルギッシュで活気がある]
ターゲットが感じるべき印象:[手軽に始められる / プロフェッショナルで信頼できる]
生成されたクリエイティブ

結果
広告クリエイティブとして使用できるクオリティのバナーを生成することができました。 また、安定的に生成できるプロンプトになったと感じています。
試行③で成功できた理由は、AIと人間のバランスがうまく取れたことにあったのでは、と思いました。
固定プロンプトで「カラーパレットの役割」「タイポグラフィのヒエラルキー」「視覚的な誘導設計」など、デザインの原則を専門用語で明確に指示。
可変プロンプトでは商材情報やキャッチコピーなど、クリエイティブに盛り込みたい要素にとどめました。
この結果、AIは豊富なデザインの引き出しを活かしながらも、広告運用者が意図した訴求をしっかり反映したクリエイティブを生成できるようになりました。
生成AIでクリエイティブ制作する際に押さえたいポイント
実際に生成AIを活用してクリエイティブを制作してみたのですが、思ったより簡単にはできませんでした。
改めて生成AIを活用してクリエイティブ生成をする際に押さえるべきポイントを整理します。
クオリティが高いデザインを言語化する
参考にしたいクリエイティブを具体的に言葉にすることが重要だと感じました。
ただし、「参考画像のように作成して」はNGです。良い生成がされません。
実際に「添付画像※を参考に生成して」と依頼した結果
※添付画像につきましては、著作権上の観点から掲載を控えさせていただきます。
添付の画像を参考に広告用バナーを作成
▼バナー仕様
画像サイズ:[1080px × 1080px]
▼業種・商材情報
業種:[パーソナルジム]
商材・サービス名:[完全個室パーソナルトレーニング]
ターゲット層:[20代後半〜40代、健康・美意識が高い層]
訴求ポイント:[専属トレーナー指導、短期間で結果、個室プライベート空間]
▼キャッチコピー・テキスト
メインコピー:[一般ジムの常識を、パーソナルが変える。]
手書き風サブコピー:[自信をもって、理想の体へ]
価格訴求:[入会金 ~~19,000円~~ → 0円]
限定性訴求:[30名限定 / 無料体験受付中]
CTA:[無料カウンセリング予約]
生成されたクリエイティブ

同じ画像を添付して3回生成を行いましたが、結果に大きく差が生まれました。かなり運要素が高いです。
また、参考画像のデザインの雰囲気は上手に引き継げませんでした。中にはクオリティが高いものもありましたが、生成結果にバラツキがある・イメージと違うものが生成されるなど、安定的にクリエイティブを生成することを考えると使えないプロンプトでした。
今回、試行③で上手くクリエイティブを生成できたプロンプトでは、構成する要素全てに対して指示を出せていました。
指示した要素
・デザインの方針(クリエイティブの大枠、禁止事項の設定)
・カラー(使ってほしいカラーの設定、カラーを使う際のルール)
・テキスト(フォント、ポイント、見え方の設定)
・配置(メイン画像や図形の指定、余白の設定、配置によって狙いたい効果)
「AIは指示に対して素直」ですので、デザインの細かい部分まで、解釈の余地がない具体的な言葉で指示することがクオリティの向上につながるようです。
具体的なデザイン配置の指示はしない
試行②のアウトプットの通り、ノンデザイナーはクリエイティブのアイデアが乏しいです。
そのため、自分の頭の中にあるイメージを形にしようとしてしまうと、AIでのデザインの可能性を潰し、クオリティが低いクリエイティブができてしまいます。
あくまで広告運用者として、目的を達成するために必要な要素のみを具体的に指示する。そうすることでAIの力を最大限引き出せるのではと感じました。
生成AI活用でノンデザでもクリエイティブは作れそう
ここまで、私が実際に行った生成AIによるクリエイティブ制作の過程をそのままお見せしてきました。
デザインの知識やスキルがなくても、ある程度のクオリティで制作できることが分かりました。
ただし、生成AIだけではプロのデザイナーが制作するクリエイティブには及ばないと感じたため、使用するシーンはまだ限定されそうです。
今回の実験を通してわかった大事なことは、「AIに丸投げ」するのではなく、「AIと協働する」という考え方です。死守したい内容を具体的に盛り込み、デザイン性はAIに裁量を持たせて任せる。この考え方さえ押さえれば、ノンデザイナーでもクリエイティブが作れそうです。
ノンデザイナーのマーケターの方、ぜひ今日紹介した方法を試してみてください!

