「クライアントの状況を解像度高く想像する」という商談準備の考え方

こんにちは。アノマリーマーケティングの副島です。

今回の内容は元々社内メンバーへの教育用コンテンツとして作ったものです。商談に携わる方であれば、何かしら参考にしていただける内容だと思い、編集して社外にも公開することにしました。

なお、今回想定しているのは、お問い合わせをいただいた後、初回ヒアリングの場に臨むまでの準備です。また、弊社はWeb広告代理店であるため、Web広告の提案を前提としていることはご承知おきください。

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目次

商談準備のゴールをどこに設定するか

私は商談準備のゴールは「クライアントが抱えている課題の仮説を立てて、具体的な対策を整理すること」であると考えています。

なぜこれがゴールなのか、少し説明します。

営業の役割は、突き詰めると「クライアントの課題を解決すること」です。であれば、課題は早く解決するに越したことはありません。事前に整理した対策がそのまま採用されれば、その場で実行に移すことができます。仮説が外れていたとしても、「自分たちが考えていたこと」と「提案内容の差分」を見ることで、共通認識が取りやすくなり、提案の方向性を素早く修正できます。

つまり、仮説を持って商談に臨むこと自体が、商談の質を大きく変えるわけです。

では、どうすれば仮説を立てられるのか。ここを最も伝えたいのですが、「クライアントが置かれている状況を、可能な限り解像度高く想像すること」です。状況が見えてくれば、何に困っているかが自然と浮かび上がってきます。

次の章で具体的なステップを紹介します。

商談準備の4ステップ

Step1:仮説を立てるための情報収集

まずは、クライアントの状況を把握するための情報を集めます。WebサイトやSNS、求人媒体、インタビュー記事などの公開情報が主な素材です。

チェックしておきたい項目はこちらです。

会社の状況

  • 企業理念
  • 事業内容
  • 業績

組織・採用状況

  • 従業員数
  • 組織図
  • 募集ポジション・募集背景

担当者を把握する

  • 担当者の経歴
  • SNSアカウント

Step2:課題の仮説を立てる

情報が集まったら、次は「想像」のフェーズです。
これまでの情報を元に、クライアントを取り巻く状況を想像していきます。

例えば、どんな目標を持っているのか?誰に何を報告する必要があるのか?他の部署との連携はどのように行っているのか?など、「クライアントの関心事や一日の動き」を頭の中で動かしてみます。

具体例を2つ紹介します。

集客に関する仮説

スタッフ情報を見ると、フィールドセールスのメンバーが1人だとします。この担当者は毎月、どれだけの商談をこなせるのか。事業内容にもよりますが、1日2商談×20営業日で、月40商談がリソースの上限と考えてみます。その商談数を確保するために必要なリード数を逆算すると、商談化率30%と仮定すると月130件前後が必要になります。今回の商談担当者がマーケティング担当である場合、サイトやSNSなど施策状況を見に行き、力を入れている様子がなければ、「この人は今、リード不足に頭を抱えているのではないか」という仮説が立ちます。またインサイドセールスの担当がいなさそうであれば、リードに対しての架電リソースも課題になっている可能性がありそうです。そうなると「単純にリード数を増やすだけでなく、リードに対応する仕組み」も一緒に提案する余地があるかもしれません。

予算配分に関する仮説

次に、担当者がどんな制約の中で動いているかを想像します。事業内容と従業員数からおおよその売上規模を推測し、類似業態の上場企業のIRと照らし合わせると、広告予算のボリューム感が見えてきます。さらに担当者が営業出身であれば、「マーケティング施策にどう予算を配分すべきか、実は自分でも判断しかねているのではないか」という仮説も浮かんできます。

数字を見ながら状況を想像する、この思考プロセスが仮説の精度を上げていきます。

Step3:課題解決のための情報収集

Step1が「課題を特定するための情報収集」だとすると、Step3は「課題を解決するための情報収集」です。具体的な施策の事例や市場環境、競合の動向、先方の現状を調べて、提案を作るための材料を集めていきます。

  • XなどのSNSでユーザーニーズを確認する
  • 競合他社の訴求内容や実施施策を調べる
  • 市場規模、検索ボリューム、クリック単価などの市況感を把握する
  • 現在行っている施策を確認する

この段階では「対策を整理するための材料を集める」というイメージです。Step2の仮説に肉付けをしていく作業とも言えます。

Step4:対策の整理

課題の仮説と集めた情報をもとに、対策を整理します。ここでいう対策の整理ではスライド等で本格的な提案書を作る必要はありません。議論のたたき台となるドキュメントで十分です。時間をかけすぎないことも、準備を継続する上では大切です。

Step2で立てた仮説を振り返ります。「リード数が足りていないのではないか」「架電リソースも不足しているのではないか」「マーケティング予算の配分に不慣れかもしれない」という3点でした。

さらにStep3の情報収集で、新たな事実が見えてきたとします。サイトに広告タグが一切埋まっていないことから、今回が初めての広告配信である可能性が高いです。そのため、広告に関する知識は少ないかもしれません。また、タグを確認するとHubSpotを導入していることも分かりました。マーケティング担当者が1人の場合、活用しきれていない可能性もあります。

これを受けて、以下の内容を対策として整理します。

  • Web広告の仕組みや基本的な考え方の説明
  • 現状どれくらいのリード数が見込めるか、広告を使った場合のシミュレーション
  • 広告予算をどう配分するか、広告以外だとどんな手段があるのかの説明
  • HubSpotを活用したリード獲得後の管理・フォロー方法の提案

担当者が営業出身であれば、マーケティングの専門用語を並べた資料よりも、「この予算でこれだけの商談が作れる可能性がある」という数字ベースの説明のほうが、腹落ちしやすいはずです。担当者が社内で稟議を通す場面まで想像できると、何を対策として整理すべきかが自然と見えてきます。

さいごに

正直、ヒアリングをしてから対策を整理しても、結果的に同じ内容になることはあります。

ただ、クライアントの立場で考えてみてください。「話を聞いてから考えます」という代理店と、「事前に調べて仮説ベースで対策を整理してくれた」代理店。どちらに頼みたいと思うでしょうか。おそらく後者のはずです。

準備するということは、相手のことを商談前から本気で考えるということです。その姿勢そのものが、「売りたい」ではなく「一緒に考えたい」であることを、言葉よりも正直に伝えます。

私が目指したいのは「売る側」ではなく、「一緒に考えるパートナー」としての立ち位置です。クライアントと同じ視座で会話し、一緒に解決策を考えられる存在になれたとき、商談は自然とうまくいくようになると考えています。

この記事を書いた人

副島 聡一郎のアバター 副島 聡一郎 執行役員

1997年11月生まれ広島出身・名古屋育ち。名古屋工業大学卒。2020年に新卒でWeb広告代理店に入社して、広告運用とフィールドセールスを担当。2023年にBtoB向けSaaSスタートアップに入社。マネージャーとして市場調査、マーケティング戦略の立案・実行、インサイドセールス部門の立ち上げを行う。2025年にアノマリーマーケティング株式会社に入社。

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